
2005.9.26 メールマガジン vol.28 「失敗から学んだ経営手法(8)」
前回、堂々巡りの構図というものについてお話をしました。
問題を解決しようとすればするほど、問題が大きくなり、いつまで経っても問題が解決しないサイクルに入ってしまうことです。
今回は、その堂々巡りの構図を中心に書いてみたいと思います。
僕が以前支援していたクライアントの話です。
その会社は、従業員30名くらいの成長を志向している外食企業でした。
社長は、かなり焦っていました。
従業員の覇気はなく、モチベーションは非常に低い状態に見えます。
会社の売上は良くありません。
利益は創出しているのですが、目標としている額には大きくショートしています。
社長の立場からすれば、目標からショートしているにも関わらず、やる気のない従業員は頼りなく、とてもイライラする存在でした。
従業員の接客サービスはお世辞にも良いと言える状態ではありません。
社長は、「スキルがないから対応に時間がかかる。立地がよく、せっかくたくさんのお客様が来店して下さっているのに、リピートにつながらない。」
やる気もなく、スキルもない・・・そんな従業員を前に社長が考えたことは、「徹底した従業員研修」でした。接客サービスの基本を厳しく教え込もうとしたのです。
果たして社長が取ったこの施策は正しいのでしょうか?
一見、正しそうなこの社長の判断が、実は堂々巡りの構図にはまりこむミスジャッジだったことは、残念ながら、その後の結果として表れてしまいました。 接客スキルは高まってきているにも関わらず、売上はどんどん下がっていってしまったのです。
この会社の堂々巡りの構図は次の通りです。
1) お店には十分すぎる集客力がある
↓
2) スタッフは常に仕事に追われ、業務過多の状態でモチベーション
が下がってしまう
↓
3) サービスの質が下がる
↓
4) リピーターが増えない
↓
5) 売上不足
↓
6) 社長からの檄が飛ぶ
↓
7) スタッフは焦り、チラシ配りなどを実行する
↓
(1)へ
この全体の構図を把握することなしに研修を強引に進めたために、2)スタッフが仕事に追われモチベーションが下がっている、という問題をさらに拡大してしまいました。
ただでさえ仕事が溢れている中で、研修まで実施したらモチベーションの低下は当然の結果だといえるでしょう。
その結果、スキルは高まったものの、ホスピタリティに代表される接客マインドは逆に下がってしまい、リピート率をさらに押し下げる結果になってしまったのです。
この会社の最も重要な問題は、リピーターが増えないことです。
そしてその理由はスタッフが仕事を処理しきれないことにあります。だから、考えるべきことは次の3つのどれを選択するか、あるいは、どう組み合わせて実施するかということになるはずです。
1) 集客を抑え、客単価向上策を打つ。
2) 優秀なスタッフを入れる。(これは外食業界では非常に難しい)
3) 同じスタッフでも仕事をまわしきれるよう、オペレーションを楽にするための仕組みを
検討・導入する。
上の堂々巡りの構図が見えていれば、スタッフの負荷を減らすことに全力を注ぐべきで、負荷を増やすような施策は実施しないはずです。
社長は非常に優秀な方ですが、それでもこういった誤りを犯してしまったのです。現場に入れば入るほど、自分の会社はどんな構図で問題が発生しているのかがわからなくなってしまいます。
今、自分の会社はどんな構図になっているのか、俯瞰的にそれを見極めることが、事業を成長させる中でとても重要だと感じています。
前回、「欠点を解決しようとするのではなく、欠点を上回る長所を作りましょう」というお話をしましたが、あくまでも全体の構図を捉えた上で実行しなければ、大事なポイントを見落とすことになるかもしれません。
一度、自社の構図について考えてみてください。
予想以上に物事というのはシンプルに出来ていることに気づくのではないかと思います。
【結論:問題の全体像を見る】
断片的に問題を見るのではなく、俯瞰的に問題を見渡して問題の構造を捉えることが大事。
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